Philipp Heretsch, Sebastian Rabe and Athanassios Giannis*
DOI: 10.1021/ja103152k
通常の古典的ステロイド骨格は6-6-6-5員環の骨格で形成されているが、中にはC-nor-D-homo-ステロイドと呼ばれる6-6-5-6員環の骨格を有するものも存在する。これら非古典的ステロイドは数は少ないものの、生理活性が高い化合物が多く、注目を集めており、様々な合成法が報告されている。なかでも古典的ステロイド骨格から炭素骨格の転位を経て形成するのがもっとも自然であり、生合成経路に沿ったものであると考えられている。本報告は既存の方法論では満足のいく結果を得られていない12-βヒドロキシルステロイドを基質とした、生合成経路を模した炭素原子の転位による反応に関するものだ。
12ーβヒドロキシル基を脱離基に変換して転位を起こそうとした場合に、副反応としては単なる脱離によるオレフィンの生成が考えられ、さらに転移後のオレフィンがエンドとエキソオレフィンの2通りが考えられる。著者らは今回エンドオレフィンを得たかったために条件検討の結果、Comins試薬をTf化剤として用い、量論量のDMAPとともにトルエン中で還流させることで副生成物の生成をある程度抑えながらも目的のエンドオレフィンを高収率で得ることができた。本反応の中間体としては通常ではTfO-体が考えられるが、単離生成したTf体を原料とした場合には望みの生成物は得られなかったと本文中に記載があり、単純に思いつく反応機構ではないのかもしれない。
私はステロイド骨格は軽く触ったことがあるだけなのだが、収率/選択性ともに高くはないが、反応条件も一般的であるし、所謂ステロイド骨格を原料としてバイオアッセイ用に数mg単位で合成するなどのを目的には十分使えそうな印象を受けた。
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿