Longwu Ye, Weimin He and Liming Zhang*
DOI: 10.1021/ja1033952
4員環の環状エーテル、オキセタンはCarreiraらの研究もあって創薬の分野ではその物性と特許性の面から注目を集めている化合物群だ。本論文では酸化的条件下、アルキンと金触媒との反応で生じた金カルベノイドの近接アルコールへの挿入によりオキセタンー3ーオンの合成を行っている。
αージアゾケトンを用いた近接アルコールへの挿入は既知の反応であったが、ジアゾ化合物は調製の煩雑さと爆発性を有しており、日常的な合成には望ましい原料とは言えない。一方で筆者らが見いだしていた酸化的条件により金触媒とアルキンから金カルベノイド種を生成させる知見を、ジアゾ化合物の化学と比較することでオキセタン形成が可能ではないかと考えるに至ったのが研究の発端だ。これが可能ならば容易に入手可能なプロパルギルアルコールがαージアゾケトン等価体となり、有用性が高いと考えた。
種々検討を重ねた結果、ブレンステッド酸、置換ピリジンNーオキシド、金触媒を用いることで良好な収率で望みのオキセタンー3ーオンが得られることを見いだした。これは条件を少し変更することで2級プロパルギルアルコールだけでなく、3級の基質にも適応可能であり汎用性の高さが伺える。無置換のオキセタンー3ーオンは高価であり、かつ揮発性であるため、これを安価なプロパルギルアルコールから合成し、そのまま変換を行うことで合成的にもコスト的にも有用性の一端を示している。水分、酸素をケアしなくていい点も本反応の簡便さを後押ししている。
もう少し反応機構に関する記述が欲しいところだが、速報としてはこの程度かもしれない。
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