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2010/04/28

Synthesis of Alkyl Alkynyl Ketones by Pd/Light-Induced Three-Component Coupling Reactions of Iodoalkanes, CO, and 1-Alkynes

Akira Fusano, Takahide Fukuyama, Satoshi Nishitani, Takaya Inouye and Ilhyong Ryu*
DOI: 10.1021/ol1007668

アルキニルケトン(インオン)はマイケル付加受容体としてヘテロ環合成の原料に使われるなど合成中間体として有用な化合物群である。通常、酸塩化物と末端アルキンの薗頭カップリングや、金属アセチリドのカルボニル化合物への付加(と続く酸化)などの手法で合成されており、前者の応用例として一酸化炭素雰囲気下でヨウ化アリールと末端アルキンをカップリングさせる反応も用いられる。しかしアルキルハロゲン化合物に対する酸化的付加に難があるために、通常用いられるヨウ化物はアリールまたはビニルというsp2炭素に限られており、上述の3成分反応でアルキルケトンの合成を行うことは難しかった。
本報告は光照射条件でアルキルヨウ化物から炭素ラジカルを生成させることで、アルキルーアルキニルケトンの合成を達成している。

反応条件を検討したところ、フェニルアセチレンと1−ヨードオクタンのカップリングがベンゼン/水の混合溶媒中、キセノンランプ照射条件でPdCl2(PPh3)2触媒を用いることで良好な収率で反応が進行した。また1−オクチンのようなアルキルアセチレンを用いる際には5等量のアルキンを用いることで、同等の良好な収率で目的物を与えることも見いだした。最適条件下、反応は様々なアルキル置換の基質で中程度から良好な収率で進行することがわかった。またラジカル経路を通っていることは、分子内の適当な位置に二重結合を有する基質を用いた際に環化が進行した後に、アルキンとのカップリングが起きているような生成物が取れていることから示唆されている。



本反応では光照射によるラジカル生成を介していることで、従来適応が難しかった1級ハライド由来のアルキニルケトンの合成に成功した。実際のところ本法ではsp2炭素ーヨウ化物の適応は難しいだろうから、従来の手法と相補的な方法論になるだろう。光化学には詳しくないのでキセノンランプ装置の実用度がどのくらいなのかと、45atmという高圧の一酸化炭素を用いていることが気になる点ではある。

2010/04/09

Iron-Catalyzed C−C Bond Formation at α-Position of Aliphatic Amines

Naohiko Yoshikai†, Adam Mieczkowski, Arimasa Matsumoto, Laurean Ilies and Eiichi Nakamura*
DOI: 10.1021/ja100651t

本反応は脂肪族アミンのα位にアリール基をラジカル的に導入する反応である。鉄触媒を用いたPh2Znとヨードトルエンとのクロスカップリングを検討中に、溶媒として用いていたTHFの酸素α位にフェニル基が導入された副生成物を単離してきたことから本研究が始まったらしい。ヘテロ原子のα位はラジカルが生じやすく、この反応を検討するにあたっては様々な系が考えられるが、著者らが選択したのは脂肪族3級アミンのα位アリール化である。

想定した反応機構は、ヨードトルエンから還元的にアリールラジカルが生成しTHFの酸素α位から水素を引き抜く。生じたアルキルラジカルがフェニルアニオンと反応し、副生成物を与えるというものだ。この想定に沿って、分子内にヨードフェニル部位を有する基質を設計して、分子内ラジカル移動が起こるように反応を設計したところ、期待通りにアリールグリニャール試薬やジアリール亜鉛試薬との反応が進行することが明らかとなった。
基質としては環状アミンのみならず、非環状アミンでも良好な収率で生成物が得られているが、アニリン系の基質では低収率にとどまっている。



筆者らは重水素ラベル化実験を行って、1) 1,5-水素移動は分子内で起こること、2) 同位体効果が見られないことから、水素移動は律速段階ではないこと、を明らかにした。

このように副生成物の単離から始まる反応探索というのは、研究の醍醐味の一つだなと改めて感じた。これを読んで、亜鉛+ラジカル+副反応から始まったというキーワードから、富岡先生のジアルキル亜鉛のラジカル反応を思い出した。

参考)
富岡研究室