2011/02/18

Novel Aerobic Oxidation of Primary Sulfones to Carboxylic Acids

Amy C. Bonaparte, Matthew P. Betush, Bettina M. Panseri, Daniel J. Mastarone, Ryan K. Murphy, and S. Shaun Murphree
Org. Lett., DOI: 10.1021/ol200135m

カルボン酸の合成法としては1級アルコールやアルデヒドの酸化、Grignard試薬の二酸化炭素への付加を始め、様々な方法論が既に知られているが、いまなお新しい合成法の研究が続けられている。本報告ではアルキルスルホンを塩基性条件下、分子酸素を用いてカルボン酸へと合成するというものだ。

著者らは別のプロジェクトの実験でフラン環上のフェニルスルホンをカルボン酸へと変換しようとした際に、既存の方法論では望みの反応が進行しなかったことから条件検討を開始した。その際、ベンジルフェニルスルホンとカリウムtert-ブトキシドを混合させると安息香酸が生成したという報告に着目した。この系では酸化剤は明らかに空気中の酸素であると考えられる。そこで各種塩基(1equiv.)をTHF中で作用させ、酸素雰囲気下で撹拌を継続したものの目的物は得られなかった。アニオンの低反応性が原因だと考えた著者らは、高い反応性で知られるスルホンのジアニオンを利用することとし、塩基を2.5当量用いて反応を行った。すると様々な塩基で反応が進行し、特にKHMDSを用いた場合に最も収率がよかった。また乾燥空気下で反応を行った際も望みのカルボン酸が得られた。


メチルフェニルスルホンのアルキル化により合成した各種基質で反応を行った所、中程度から良好な収率でカルボン酸を得た。反応機構としてはジアニオンの酸素分子への付加、カリウムパーオキシドの分解を経るルートが提唱されている。最後に市販されている13Cで標識されたスルホンを用いて、13C-カルボン酸の合成へと応用している。

あまり目にしないタイプの反応ではあるものの、論文の最後で述べられているようなシアニドからカルボン酸を合成するルートの代替としては、原子効率、収率などの面からもう一つといったところだろう。

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