2010/06/18

Highly Flexible Synthesis of Chiral Azacycles via Iridium-Catalyzed Hydrogenation

J. Johan Verendel, Taigang Zhou, Jia-Qi Li, Alexander Paptchikhine, Oleg Lebedev and Pher G. Andersson*
DOI: 10.1021/ja103901e

ピロリジン、ピペリジン、モルフォリンなど脂肪族環状アミン類は創薬化学を始めとした各種応用分野において頻用される構造部位だ。置換基を有する環状アミン類では、不斉点を有することが多いため、その不斉合成が鍵となることがある。

本報告では、閉環メタセシスによる環構築と続くイリジウム触媒による不斉還元によって5,6,7員環のアミン類の合成を行っている。通常のアミン類の還元ではイミンやエナミンの還元、窒素上の置換基を足がかりとした還元が多いため、環内の窒素原子から離れた部位に存在する二重結合を不斉還元する例はあまりなかった。著者らはイリジウム錯体であれば窒素との相互作用なしに還元が進行することに着目し、検討を行った。



学術的には特筆すべき点もないし、なぜJACSに掲載されているのかよくわからない論文ではある。実務としては、イリジウム錯体の値段と高圧水添という点、およびオレフィン置換基としてヒドロキシメチル基が一つ例としてあるもののアリール基が大半を占めている点が気になる。窒素との相互作用がないために、保護基をTsとCbzを例にとっているが、他の保護基も使えそうな点はよい。一般性のありそうなスキームではあるので、もう少し官能基化された基質での適応例があったらより魅力的な論文になっただろう。

常々不斉還元もそろそろ常圧で気軽に使える反応系が出てきてもいいと思っているのだが、色々な人に学会などで聞いたりもするのだけど、常圧にするとeeは下がりがちで難しいらしい。

0 件のコメント:

コメントを投稿