2010/10/16

Catalytic Acylation of Amines with Aldehydes or Aldoximes

C. Liana Allen, Simge Davulcu, and Jonathan M. J. Williams*
Org. Lett., DOI: 10.1021/ol101978h

カルボン酸、アミン、縮合剤を混合するアミド結合生成法は、信頼性に優れた方法論であり、ペプチドの化学と共に発達したことからラセミ化を抑える工夫なども行われている。しかし分子量の大きな縮合剤を量論量用いることから、大量の廃棄物が生じてしまうという問題も抱えている。そのため触媒を用いるアミド化反応の開発が近年のホットな話題と一つとなっており、例えばアルデヒドからアミナールの酸化を経てアミドを生成する反応や、オキシムから金属触媒を用いて1級アミドを生成する方法などが開発されてきた。本論文でもニッケル触媒存在下、アルデヒド、ヒドロキシルアミン、アミンを混合し加熱することで、オキシムを経て2級、3級アミドを生成するという反応を報告している。

著者らは既に前述したオキシムからの1級アミド生成反応を報告しており、その中間体としてニトリルを想定していた。また金属触媒を用いたニトリルから2級、3級アミドへの変換反応について文献例があったことから、条件検討によってオキシム→ニトリル→2級/3級アミドという反応が可能だと考えた。オキシムを原料としてベンジルアミン存在下、インジウムやルテニウム触媒を用いると1級アミドが生成するのみであったが、塩化ニッケル6水和物を用いると望みのベンジルアミン由来のアミドが選択的に生成した。検討により5 mol%のニッケル触媒、キシレン中155度に加熱する条件を最適とした。


オキシムとアミンについて一般性を検討した所、1級アミンのみならずモルホリンなどの2級アミンを用いても良好な収率で目的物を得ているが、求核性に劣るアニリン誘導体では反応が進行しないようだ。アルデヒド側も脂肪族では良好な収率を示しているが、芳香族アルデヒドでは多少の反応性低下が見られる。また中間体としてニトリルを経ることを想定しているように、ケトオキシムを原料とすると全く反応が進行しない。一定の一般性が得られたので、続いて系中でオキシムを形成させながらアミドを生成させる反応ついて検討を行っており、この場合も前述の検討を同様に幅広い脂肪族アミン、脂肪族/芳香族アルデヒドを用いることが可能なようだ。

反応機構としてはいくつか考えられるが、著者らはラベル化実験により2分子がニッケル触媒に関与する反応機構を提唱している。得られている実験結果が必ずしも本反応機構だけで説明できるとは言えないが、類似の反応機構は他の著者によっても提唱されていることから速報段階での妥当性は高いと考えられる。

触媒の安価さは魅力的であるが、いざ使おうと考えると(即座にオキシム生成まで行くとは思われるものの)、ヒドロキシルアミンを高温に加熱することに安全面での不安を少し感じてしまう。

0 件のコメント:

コメントを投稿