2010/10/21

Palladium-Catalyzed Asymmetric Benzylation of 3-Aryl Oxindoles

Barry M. Trost* and Lara C. Czabaniuk
J. Am. Chem. Soc., DOI: 10.1021/ja1079755

π-アリルパラジウム種を経るアリル化反応は、炭素/窒素/酸素求核種とさまざまな求核種を用いることが可能で、非常に有用性が高い反応だ。一方で、ベンジル位での同様のη3-中間体を経るベンジル化反応は、中間体が芳香族性を崩すことになるため一般的ではない。それでもいくつかの報告例はあるが、満足のいく収率、不斉不斉収率で反応が進行するものはなかった。本報告は3-アリールオキシインドールを求核種としたパラジウム触媒による不斉ベンジル化反応に関するものだ。

著者らは既に同様の求核種を用いたアリル化反応を報告していることから、触媒系などはそれを踏襲して検討を開始した。(1-ナフチル)メチルアルコールのメチルカーボネートを反応剤としたところ、中程度の不斉収率で目的のナフチルメチル体を得た。濃度、添加剤、溶媒、配位子について検討し、93%収率、86%不斉収率にまで最適化を行った。



各種3-アリールオキシインドールについて反応を行ったところ、3位にo-メチルフェニル基を有する立体的に嵩高い基質では中程度の収率になるものの、総じて高収率、良好な不斉収率で目的物を得ている。一方でベンジル供与体としては、主としてナフチル、インドール、ベンゾフランなど2環性の基質を用いており、芳香属性の崩れた中間体の安定化を狙っているのが特徴だろう。単環性の基質としてはフラン環で反応を行っているが、やはり通常のフェニル基では難しいということなのだろう。

正直な所、π-アリルの化学を拡張した本論文のようなベンジル化の報告例が既にあることも知らなかった。本報告では上手に基質を選んであるという印象を受けるが、中間体の安定化に関してもう一工夫を重ねるともっと色々できそうな気がした。

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