2010/05/14

A P,N-Ligand for Palladium-Catalyzed Ammonia Arylation

Rylan J. Lundgren, Brendan D. Peters, Pamela G. Alsabeh, Mark Stradiotto, Prof. Dr. *
10.1002/anie.201000526

アニリン合成法としてのアンモニアとハロゲン化アリールのアミノ化反応は、1) アンモニア自身の低反応性と、2) それに起因する生成物であるアニリンの二重アリール化、という二つの問題を抱えた反応であり、Buchwald-Hartwig型アミノ化反応のめざましい研究の進展にも関わらず、近年になってようやく実現が可能となってきた反応形式だ。そのためまだまだ基質、反応条件の温和さ、触媒量などに改善の余地を残しているといえる。本報告では塩化アリールを基質とした反応を、アンモニアに特異性の高い配位子ーパラジウム錯体を用いることで実現している。

他の報告例ではよい結果の得にくい4-クロロトルエンを基質として、各種配位子、反応温度、触媒量などの条件検討を行ったところ、ジアリール体の生成を23:1にまで抑えることに成功した。この条件下各種塩化アリールを検討したところ、反応のいきにくい電子供与基を有する基質、アニリン部位を有する基質などでも好結果を得た。さらにアルキルアミン部位を有する基質を用いた場合にも、反応はアンモニア選択的に進行することがわかり、この錯体のアンモニアに対する選択性の高さが判明した。
このアンモニアに対する優れた選択性を解明すべく、錯体の結晶構造など中間体の同定に努力しているが、初期的な結果を得ている段階に過ぎず、さらなる反応機構の解明が望まれるところだ。



1年ほど前にBuchwaldが配位子のチューニングによりフッ素化反応を報告したことがあったが、今回の例といい新規配位子の設計は大変なこともたくさんあるのだろうけれど、既存の反応例がない分野を開拓する可能性を秘めたアプローチだなと改めて感じた。

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