Ralph Moser, arko V. Bokovi, Christopher S. Crowe and Bruce H. Lipshutz*
DOI: 10.1021/ja102689e
銅(I)触媒を用いる1,4-付加反応は有機合成において極めて重要な反応のひとつだといえるだろう。一方でその選択性発現には銅とアルケン同士のソフト‐ソフト相互作用が大きな寄与をしており、配位子などを用いてこの選択性を1,2-付加に逆転させることは困難な課題である。
本論分では銅触媒を用いてα‐二置換エノンを用いた触媒的不斉1,2-選択的還元を実現したという報告だ。
酢酸銅(II)を金属源として、ジエトキシメチルシランをヒドリド源、BIPHEP誘導体を配位子とした条件でよい収率、不斉収率にて目的物を得た。BDPを配位子とした場合には1:7で1,4-付加体の方が多く生成していることから、選択性発現は基質特異的ではなく、条件の適切さが伺える。
最適条件を各種エノンに適応した。全ての基質でα位に置換基を有していることから、詳細は不明なもののこの置換基が選択性発現に何らかの寄与をしていることが伺える。β位の置換基はアリール基のものが多いが、中にはトリフレートを有するものがあるなど合成化学的に興味深い基質での反応も行っている。
合成化学的には他の金属を使うことで1,2-還元を行えばいいだけなので、どこまで有用性があるかは疑問が残る点もあるが、現象としては興味深い反応だと思う。用いている銅は2価なので活性種がCu(I)-HなのかCu(II)-Hなのかの考察くらいは欲しいところだ。
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