2010/05/20

Metalated Nitrile and Enolate Chlorinations

Bhaskar Reddy Pitta and Fraser F. Fleming*
DOI: 10.1021/ol100897y

有機化合物のハロゲン化反応は、生成物のさらなる官能基変換への足がかりとなることから有用な反応といえる。中でも新しいハロゲン化剤の開発は、既存の条件では到達し得ない反応を実現する可能性を秘めており、研究が活発に行われている領域といえるだろう。
本論文では2-クロロ2-フルオロ2-フェニルアセトニトリルを求電子的反応剤として、ケトン、エステル、ラクトン、ニトリルに対応するエノラートのα‐クロロ化反応を実現している。

反応に際してはリチウムエノラート生成後に素早く小過剰のクロロ化試薬を投入することが、自己縮合反応を抑制することに重要とのことだ。この試薬が優れた求電子性を示すのは、ニトリルとフッ素原子という強力な電子吸引基が同一炭素に結合していることによると思われる。因に試薬は反応後に、カルベノイドを経由して二量体化するようだ。様々な基質にて目的物を得ることに成功しているが、基質はα位が3級であるという条件が必要である。

筆者らは、iPr-グリニャール試薬を用いたクロロ原子とのハロゲン‐金属交換反応を、他の官能基に影響を与えることなく実施することで、生成物の有用性を示すことに成功している。実際、ビニロガスエステルは塩基存在下で容易に脱プロトン化されるため、本手法を用いて選択的にエノラート生成が行えるのは実用的だ。



本報告ではエノラートのクロロ化であったが、芳香族のハロゲン化も含めて試薬の反応性や条件の強さによって意外ときれいにいかない事も多いので、地味でありながらこういった化学の研究は需要があるような気がする。

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