Alberto Martínez, Patricia García-García, Dr., Manuel A. Fernández-Rodríguez, Dr., Félix Rodríguez, Dr. , Roberto Sanz, Dr. *
10.1002/anie.201001089
インドールの窒素原子を炭素に変えた骨格、インデンは有機金属化学の分野を始めさまざまな応用先を見る化合物だ。その既存の不斉合成法としては、エノンへの不斉マイケル付加反応を起点とした反応例が存在するものの、この反応を用いると必然的に1位にはメチレンカルボニルが導入されることになる。本報告は金触媒を用いたアルキンの活性化による分子内環化によって5員環を構築しようというものだ。
発想のポイントは以下の通り。適切に配置されたアルキンとアルケンを分子内で環化させる反応は数多くあるが、それらは6-Endo型の環化に限られていることに著者らは気がついた。しかしBaldwin則からすると6-Endo-Dig型も5-Endo-Dig型も許容されるため、これら二つの反応経路を分けるとすれば電子的、立体的な効果だろうという考察に至った著者らは、6-endo型の反応部位とあるアルケン炭素周りを嵩高くすることで、5-Endo型に反応を制御しようと試みた。
実際に種々のソフト金属を用いてアルキンを活性化させて環化を試みたところ、カチオン性金錯体を用いた場合に高収率で望みの5員環を得ることに成功した。また求核種としてアルコールを共存させておくことで、アルコール部位が導入された化合物が得られてくることから反応機構は下記のように推定された。
続いて反応の不斉化を目指して、種々のキラルホスフィン配位子を検討したところBIPHEP誘導体を用いたときに最もよい不斉収率を達成した。そこで種々の基質に対して反応を試みた。注目すべきは共存させるアルコールを変化させることで不斉収率が変動する点で、このことからアルコールの付加、または脱離によるオレフィンの生成過程が不斉導入段階であると推測される。
金は直線上の2座配位型金属であることより、2座配位型配位子を用いた場合にも2分子の金属が必要となる。興味がある点としては、この2つの金原子は協奏的に作用しているのか、独立しているのか、1原子は何も作用していないのかという点だろう。また金属と不斉点は距離的に離れているように感じられる点がもう1つの気になる点だ。
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