2010/08/25

Aryl(sulfonyl)amino Group

Yuzo Kato, Dinh Hoang Yen, Yasuhiro Fukudome, Takeshi Hata and Hirokazu Urabe*
Org. Lett., DOI:10.1021/ol101541p

求核置換反応の脱離基を考えた場合に、酸素官能基と比べると窒素官能基の存在感は薄い。これはそもそも脱離能が低いといった理由に加え、本論文の導入部にも記載されているように窒素官能基そのものを求核置換反応により導入していることが多いこともあるだろう。それでも窒素官能基を足がかりに他の官能基を導入した後に、窒素部位を変換したいこともあるだろう。本論文は、そういった場合に使用できうる、窒素官能基を脱離基とした分子内求核置換反応に関する報告だ。

著者らは電子吸引性から想定される脱離能と官能基の安定性を考えて、N-アリール-N-スルホニルアミド、すなわちアニリンのスルホンアミド誘導体を脱離基として用いることとした。検討の結果、DMF中、無機塩基存在下に150度に加熱することで望みの環化体が得られることを見いだした。求核部位としてはスルホンアミド、フェノール、カルボン酸、さらにマロノニトリルやビススルホンなどの活性メチレン化合物を用いることが可能となっている。反応はアニリン部位もo-ニトロフェニルを用いて電子吸引性を向上させた方が反応が円滑に進行するものの、窒素の保護基として用いられやすいPMPを用いても反応は進行するようだ。



着眼点はなかなかおもしろく、例えばo-アニシジンのメトキシ基を起点としてなんらかの変換を行った後に、アニリンのTs化、続いて置換反応を行うというのは考えられなくもない。一方でスルホンアミドからの利用は一度アリール化を経ることを考えると使いにくいように思える。理想的には外部ルイス酸などを添加してでも、一つの置換基のみで脱離させたいところ。その際には電子吸引性だけを上げても、ジニトロベンゼンスルホニル基のように窒素から外れやすいだけになってしまいかねないので、バランスが難しそうではある。

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