2010/08/16

An Efficient Oxidation of Primary Azides Catalyzed by Copper Iodide

Manjunath Lamani, Kandikere Ramaiah Prabhu Dr.
Angew. Chem. Int. Ed., DOI: 10.1002/anie.201002635

ニトリル基はカルボン酸を始めとする各種官能基に変換可能であり、ニトリル基の新規合成法の開発は有用性が高い。本報告はアルキルアジドの酸化によりニトリルを得る反応に関するものだ。既にアジドをニトリルへと変換する方法はいくつか報告されているが、本報告は一般性や反応条件の温和さなどに特徴を有している。

著者らは各種酸化剤と触媒の検討を行い、水を溶媒として用い、TBHPを酸化剤、ヨウ化銅(I)を触媒とすることでベンジルアジドのベンゾニトリルへの変換が高収率で進行することを見いだした。最適条件を各種基質に適応した所、オレフィンやケトン、エステルなどの官能基共存化でも選択的に反応は進行した。またベンジルアジド以外に直鎖型のアルキルアジドでも良好な収率で対応するニトリルを得ることに成功している。本条件を2級アジドへと適応した場合は、途中で生じるイミンが加水分解されて生じると思われるケトンが得られている。α-アジドエステルを基質とした場合にもα-ケトエステルが得られており、酸化条件下においても炭素-炭素結合の開裂が見られていないことは本反応条件の温和さを示していると言えるだろう。



反応機構に関しては、1)反応系中で窒素が生成していること、2)ラジカル機構を取っていないこと、の2点を実験により確認しているが、それ以上の言及はない。

一般にアルキルアジドはアルキルハライドなどの脱離基とのSn2反応で合成することが多い。本反応で得られたニトリルは、原料のアルキルハライドを1炭素減炭した化合物からシアニドイオンを用いて得たニトリルに相当する。このため、原料の入手性や合成容易さなどからこれらの反応が使い分けられたら便利だろう。

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