2010/04/19

Asymmetric Rh(I)-Catalyzed Addition of MIDA Boronates to N-tert-Butanesulfinyl Aldimines

Katrien Brak and Jonathan A. Ellman
DOI: 10.1021/jo100318s

Ellmanグループといえばtert-ブチルスルフィニルイミンを用いたキラルアミン合成を精力的に研究している。本報告ではロジウム触媒を用いたアルケニル基のイミンへの付加反応であるが、アルケニル源を以前に報告していたKBF3RではなくMIDAを用いた所、収率の面で優れていることがわかったというものだ。
MIDA(N-methyliminodiacetic acid)は最近急速に広まっているホウ酸源である。特徴としてはカラム生成可能なほどの安定性を持ちながら、容易に調製可能な点であり、さらにアルドリッチ社から様々な誘導体が購入可能となりつつある。以前のカリウム塩をアルケニル源とした場合には、反応条件下において分解/二量体化などの副反応が進行してしまい低収率に終わるものがあった。そこで今回、より安定なMIDA誘導体を用いて検討を行うに至ったようだ。



反応はH2O/dioxaneの2層系で行われており、MIDAから徐々にホウ酸が放出されることで反応が進行することになる。このため、加水分解のおきにくい芳香族イミンでは高収率にて反応が進行するものの、容易に加水分解の起きる脂肪族イミンでは思うように反応が進行しないという欠点を有している。
触媒的不斉反応の進歩が著しい現代有機化学においても、Ellmanのジアステレオ選択的な反応は依然として有用度が高く、こういった手法をきちんと抑えておくことは大事。
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参考)
Aldrichmica ActaのMIDAの総説(PDF)

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