Meike Niggemann, Prof. Dr. *, Matthias J. Meel, Dr.
10.1002/anie.200907227
フリーデルクラフツアルキル化反応はクロスカップリング等の反応が発達した現在でも、芳香族の官能基化においては頻用される反応である。古典的には塩化アルミニウムを用いて加熱する本反応も、触媒量の金属を用いたりやアルコールを基質とするなど様々な研究が進められている。
本報告では、カルシウム塩を用いてアリル、プロパルギルアルコールに対する電子豊富アレン類のフリーデルクラフツアルキル化に関する報告だ。これまで触媒としてさまざまな金属が用いられてきたが、カルシウムを用いているというのが一つ特徴的である。
条件検討の結果、Ca(NTf2)2を触媒とし、添加剤としてBu4NPF6を用いることで系中でより反応性の高いカチオン性錯体Ca(NTf2)PF6ができていると著者らは説明している。カチオン性錯体を利用することで触媒のルイス酸性を増大させ、ヒドロキシル基の脱離能を増強させているのだろう。
基質としては2級のアリル、プロパルギルアルコールに対して良好な収率でαー付加体を得ている。やはり芳香環を有する(ベンジル)アルコールの方が反応性が高いために反応時間、収率ともに高い傾向が出る。興味深いことに3級のアリル、プロパルギルアルコールに対しても良好な収率にて生成物を与えるが、2級アリルアルコールがαー体を与えていたのに対し、3級アリルアルコールはその嵩高さのためかγー体を与えている。芳香環の方の一般性もピロール、フランなどのヘテロ芳香族でも良好な収率で目的物を得ている。いずれの場合も室温にて進行していることも特徴である。
さて、本反応ではアンモニウムPF6を用いてCa(NTf2)PF6を系中で生成させていた。この場合はカルシウム金属を用いることをアピールする狙いもあって他の金属種を用いることを避けている面も見受けられるが、例えばCaCl2とAgPF6などを用いて、より反応性の高いと思われるCa(PF6)2を生成させる試みをした場合はどうなるのか気になるところだ。またなぜカルシウムがよいのかについて、定性的であっても議論をしてほしかったところである。
2010/04/15
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