2010/04/14

N-Heterocyclic Carbene-Catalyzed Cascade Reaction Involving the Hydroacylation of Unactivated Alkynes

Akkattu T. Biju, Nathalie E. Wurz and Frank Glorius*
DOI: 10.1021/ja102130s

アルキンに対するヒドロアシル化はα、βー不飽和カルボニル化合物を与え、そこからさらなる官能基変換が可能なことから有用な反応と考えられる。しかしアルケンのヒドロアシル化と比べるとまだまだ一般的な反応ではない。
以前にNHC触媒を用いた極性転換の反応を紹介したように、Stetter反応を始めアシルアニオン等価体を活性多重結合に反応させる例が多いが、本反応は単純なアルキンに対する反応である。これは分子内で6員環を形成するようにアルキンを配置していることで可能となっている。
生成物は先に述べたようにα、βー不飽和ケトンになり、もし系中にアルデヒドが存在していればNHC触媒を用いてさらなる炭素ー炭素結合形成の可能性が出てくる。実際にアルデヒドを共存下に反応を行うと、極性転換したアルデヒドが求核種となってマイケル付加することでさらなる結合形成が起きている。この際にケトンとNHC触媒が反応することでβ位からの求核攻撃が起きる可能性もあるが、立体的に嵩高いNHC触媒を用いることで回避している。
またアルデヒド非存在下で末端アルキンを用いてしまうと、自己縮合が起こってしまうことからも立体的な因子の影響力が伺える。



基質としては末端アルキンを用いた場合にはその後のマイケル付加が進行し(しやすく)、内部アルキンを用いるとマイケル付加はいかない(いきにくい)と推測できる。これを解消できるような強い求核性を有するNHC触媒の開発と不斉化が考えられる発展形だが、他にもカスケード反応部分を広げていく方向性も考えられるだろう。

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