Tobias Seiser and Nicolai Cramer*
DOI: 10.1021/ja101469t
パラジウムなどの遷移金属触媒を用いたC-H活性化反応は近年、進展著しい研究分野である。一方で「C-C活性化」の範疇に入る反応はまだまだ例が少ない。
求核種のケトンへの付加は逆反応の存在を考えなければならない。本反応はこのカルビノールからケトンと求核種への逆反応を逆手に取った反応といえる。すなわちシクロブタンという立体的に歪んだカルビノールを用いることで開環逆反応が進みやすいように反応を設計している。
ロジウムヒドロキシル錯体とDTBM-Segphosからなるキラル錯体を用いて、対称シクロブタンの開環非対称化反応によりロジウムエノラートを生じ、プロトン源として水を添加することで触媒サイクルを回転させている。1位に芳香環がある基質ではアリール基の転位が起こる場合があるようだが、1位ーアルキル、アルケニル、アリールと各種置換様式に対応可能なようで、収率は中程度から良好、不斉収率は総じて非常に高い。
本報告は上述したように綺麗に設計されており、不斉収率が出るべくして出ているなと感じた。また本反応により得られる化合物はカルボニルβ位に4級炭素を有しており、例えば代替手段として考えられる、β、βー二置換基質へのマイケル付加は難易度が高いことから魅力的な反応であると言えるだろう。
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