2010/04/26

Design of Thermally Stable Versions of the Burgess Reagent: Stability and Reactivity Study

Thomas A. Metcalf, Razvan Simionescu and Tomas Hudlicky*
DOI: 10.1021/jo100212n

Burgess試薬は本来は2級3級アルコールの脱水に使われる試薬であるが、近年その特徴的な構造と反応性から脱水反応以外にもおもしろい反応が報告されてきている。著者らのグループもそのようなBurgess試薬を用いた反応を研究しているグループであり、エポキサイド開環など新しい応用例の探索に当たって試薬の熱安定性に不満を抱えており、その改良に着手することとしたようだ。

コンセプトとしては脱離基となるスルホニルートリエチルアミン部位のアミンをより嵩高いメチルピペリジンとすることで安定性を増加させること、およびメチルカーバーメート部位に電子吸引性のトリフルオロメチル基を導入することで窒素アニオンの求核性を弱めるというものだ。



加熱条件下に重THF中にて安定性試験を行ったところ、安定性がかなり向上していることが確認された。反応性に関して、通常の脱水反応、エポキサイド開環反応、ジオールとの反応と試してみた結果、多くの場合で収率が向上しているのがわかった。ただしこれはTHF還流条件にて行っているため、高温が不要なこともある普通の脱水反応などでも通常のBurgess試薬では分解反応との競合によって収率が低めに出ている可能性があり、フェアな検討では内容に感じた。

Burgess試薬は、反応機構の異なるMartinスルフランと並んで全合成などでよく用いられる脱水試薬であり、本研究のような改良は地味であるけれども大事だろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿