2010/04/29

Tandem β-Alkylation−α-Arylation of Amines by Carbolithiation and Rearrangement of N-Carbamoyl Enamines

Jonathan Clayden*, Morgan Donnard, Julien Lefranc, Alberto Minassi and Daniel J. Tetlow
DOI: 10.1021/ja1007992

tert-アルコールの立体選択的合成が対応するケトンへの付加が立体的に込み入っているために難しいのと同様に、tert-アミンの合成も対応するケトイミンの嵩高さのために難しい。代替合成法としては例えばニトロアルカンを求核剤として用いた反応や、Overman転位などの転位反応を用いたアプローチが考えられる。本報告ではビニルウレアへのリチウム試薬への付加と続く分子内からの転位を経て、tert-アミンの合成を達成している。

反応の全体像は、ビニルウレアへのアルキルリチウムの付加の後、生じた中間体からアリール基が分子内転位し、メタノールで反応を止めることで4置換炭素を有するウレアを得ている。得られたウレアはn-ブタノール中で加熱することでウレア部位を除去し、アミンを合成することが可能となっている。



アルキルリチウムはtert-ブチルのような嵩高いものを用いると転位反応が進行しないものの、様々なアルキル基、アリール基を導入可能だ。また転位させるアリール基も電子供与基、吸引基ともに適応可能となっており、多くの例で良好な収率で置換ウレアを得ている。基質のアルケニル基がZ,Eの異性体を有する基質を用いた場合には、それぞれのジアステレオマーが選択的に得られていることから、付加、転位ともに立体特異的に進むことが示唆されている。

本反応は合成方法の少ないtert-アミンを高収率に合成可能な方法論であり有用性が高いだけでなく、反応機構的にも興味深い反応だ。恐らく狙っていたわけではなく偶然の副反応から到達した反応だろうが、こういうものをきちんと拾って形にすることって大事だなとしみじみ思った。

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