2010/03/19

Copper(I)-Catalyzed Addition of Grignard Reagents to in Situ-Derived N-Sulfonyl Azoalkenes

Copper(I)-Catalyzed Addition of Grignard Reagents to in Situ-Derived N-Sulfonyl Azoalkenes: An Umpolung Alkylation Procedure Applicable to the Formation of Up to Three Contiguous Quaternary Centers
John M. Hatcher and Don M. Coltart
DOI: 10.1021/ja100932q

カルボニル化合物のαーアルキル化反応は単純でありながら制御が難しい反応であり、メタラヒドラゾンなどが用いられることが多い。この場合は、α位にアニオンをだすことで求電子剤であるアルキル化剤と反応することになる。
筆者らは極性転換のアプローチを取ることで、α位に求核種を反応させることでαーアルキル化を目指した。コンセプトを下に示す。Tsーヒドラゾンを酸化することで、電子不足のアゾアルケンを生成させ、そこに求核種を作用させるというコンセプトだ。

実際の検討にはまずαークロロヒドラゾンを用い、塩基条件により脱離させることで中間体アゾアルケンを生成させることとしている。すなわち、2当量のグリニャール試薬と銅触媒を用いることで、1当量目のグリニャール試薬が塩基として作用しアゾアルケンを生成し、そこに銅触媒とグリニャール試薬から生成したキュープレート試薬が共役付加することでアルキル化を達成し、触媒が再生することで反応を進行させる。この方法により様々なαー4級炭素の構築に成功している。



興味深いのは、α、αージクロロヒドラゾンを用いることで二種類のグリニャール試薬を付加させることに成功してる点だ。また収率は若干劣るものの、最終的には作業仮説通りにヒドラゾンの酸化によりアゾアルケンを生成させることにも成功してる点も評価できる。



個人的にはこの論文のようにconcept-orientedな論文が好きである。α,α-di-tert-butylethylのような非常に込み入った炭素を構築したりとパワフルな反応のようにも伺える。もちろん、酸化条件での位置選択性の可否や、理論量よりもグリニャール試薬の当量が多めなこと、官能基化されたグリニャール試薬の利用などもう少し踏み込んでほしい部分もあるが、それは今後に期待。
またきちんと前例を調べているわけではないが、酸化条件でアザアルケン生成+ジエノラートの利用でaza-D-A反応への応用などはどうだろうか。

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