2010/03/08

Enantioselective Kita Oxidative Spirolactonization Catalyzed by In Situ Generated Chiral Hypervalent Iodine(III) Species

Muhammet Uyanik, Dr., Takeshi Yasui, Kazuaki Ishihara, Prof. Dr.
10.1002/anie.200907352

ハーバード大学のE.J.Corey教授がよく用いるハロラクトン化反応というものがある。カルボン酸に近接した環状オレフィンに対してブロモニウムまたはヨードニウムイオン化を行い、カルボン酸が分子内環化反応をすることで、二環性のラクトンを得るという手法だ。(下図)



本論文はイメージとしては上述のハロラクトン化反応をスピロラクトン化として、不斉化したものだと考えるとわかりやすいだろう。
"Kita Oxidation"と名がついているのは、超原子価ヨウ素の大家である北先生が報告した反応を不斉収率を改善したものだからである。



触媒前駆体としてはヨードレゾルシノールを母骨格、不斉源の乳酸をリンカーとし、アミド部位をチューニング可能とした分子を用い、酸化剤としてmCPBAを用いることで10 mol%の触媒量での反応を実現している。
反応機構に関する考察は、別途調製した3価ヨウ素化合物を用いた結果から活性種は3価ヨウ素化合物であると述べられているに過ぎないが、触媒設計のコンセプト通りにアミドのルイス塩基性によるヨウ素への関与が最初の酸化段階における不斉空間の創出につながっていることは間違いないだろう。

基質一般性としては、北先生の報告に習ってナフトール誘導体にとどまっている。しかし、北先生の触媒がπ電子に富んだがっしりとした触媒であるのに対し、石原先生の本報告では触媒構造が柔軟性に富んだいるため、さらなる基質適応可能性が十分にありえるのではないかと感じた。

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