David J. Hardee, Lyudmila Kovalchuke and Tristan H. Lambert
DOI: 10.1021/ja101292a
カルボン酸を活性エステルや酸塩化物などの高活性体へと変換し、アミンなどと反応させる一連のスキームは通常の実験室でも頻用される合成である。それゆえ、これまでも多くの手法が開発されてきた。本報告もその流れの一つであり、芳香性を有するシクロプロペニウムイオン中間体を経ることが新しいコンセプトである。
シクロプロペノンと塩化オキサリルから系中にて容易に調整可能な試薬を用いて、シクロプロペニウムイオン中間体を経由し、生じた塩化物イオンによる求核攻撃によって酸塩化物が生成する。ここにアミンを加えればアミドが合成できるというのが本論文の骨子であり、温和な条件で酸塩化物が合成可能であるためにN-Boc基、グリコールアセタール、TBS基など酸性条件に弱い官能基受容性があるようだ。またカルボン酸の反応性から脂肪族カルボン酸は良好な収率でアミド体が得られるものの、芳香族カルボン酸では中程度の収率にとどまっている。またラセミ化が進行しやすいと言われるペプチド合成にも適応されており、二つの基質で試されており、どちらもラセミ化は観測されていないようだ。
どこまで実用的かはわからないが、中間体安定性におけるコンセプトがおもしろかったので取りあげてみた。意地悪いことをいえば、アラニンを用いたカップリングでは室温で反応を行っているのに、ラセミ化しやすいフェニルグリシンでは−78℃で反応させていることから、、、と推測も可能であるが、それも含めて今後の改良次第の化学といえるだろう。
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