2010/03/15

Rapid Cu-Free Click Chemistry with Readily Synthesized Biarylazacyclooctynones

John C. Jewett, Ellen M. Sletten and Carolyn R. Bertozzi
DOI: 10.1021/ja100014q

Sharplessが提唱したClick Chemistryの代表格としてあげられる銅触媒を用いたアジドとアルキンの環化反応は、官能基選択性が高く、温和な条件にて反応が進行するため、近年非常に多くの反応例が蓄積されている。しかしながら、蛍光プローブなど生体内用途に分子を用いたい場合には微量でも毒性の生じる銅を用いる本反応は好ましくない。
Bertozziらはこの問題に対して、シクロオクチンという歪みを持ったアルキンを用いることで反応性を上げ、触媒なしでも反応を進行させることが可能であると報告している。本報告では、改良型シクロオクチン誘導体を用いて、1)反応性をさらに上げる、2)アッセイに於ける蛍光強度を上げる、3)簡便な合成法で作る、という改良を施している。

実際の合成スキームは下図である。鍵はmCPBAを用いたインドールの環開裂/拡大と、プローブユニットをくっつけるところだろう。全6工程18%とまずまずの収率だ。



実際に以前のジフルオロシクロオクチンとでは反応速度定数で12倍以上、通常のシクロオクチンとは450倍以上の違いがあるもよう。速い反応速度のために蛍光強度が強く、そのため試薬濃度を低く抑えることができ、単純な洗浄により取り除くのも容易とのこと。

こういったケミカルバイオロジーの論文は実際に自分で実験を行ったことがないので、イメージがわきにくいのだが、分子の設計など有機化学の中心部分は参考になる部分も多い。

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