Matthew J. O’Connor, Kenneth N. Boblak, Michael J. Topinka, Patrick J. Kindelin, Jason M. Briski, Chong Zheng and Douglas A. Klumpp*
DOI: 10.1021/ja1001482
トリフルオロメチル基はその電子吸引性の強さから、不思議な反応性を示す分子群である.本報告もそういった類に属する反応例だ.
有機化学の基本的な教科書に記述があるように、共鳴効果などを通じてカチオン性基は電子吸引効果を示し、隣接するカチオン性基の数が増える程にその活性化効果は増すことになり、多重に活性化された求電子剤を"Superelectrophile"と呼ぶ.
本報告ではジカチオン/CF3基を有し、高度に活性化された基質がどのような反応性を示すかについて述べられている.
基本的なコンセプトはカルボニル基とピリジン窒素をプロトン酸で活性化することでジカチオンとしつつ、さらにCF3基で活性化されたような基質では何が起こるだろうか?というものだ.
そして実際に反応させてみるとおもしろい結果が得られる.
つまりベンゼン中にて室温で反応させることで、カルボニル基にフリーデルクラフツ反応が起きる.興味深いのは、メチル基置換の基質であると、生成物の3級アルコールはすぐにプロトン化され脱離し、もう一つベンゼン環が入るということ.著者らは脱離した水自体も求核種であり、CF3を有する反応性の高いカチオンとはすぐに反応して3級アルコールに戻ると説明している.
また反応をより高温で行うと、水の脱離に生じたカチオンへ、またはSn2'タイプにベンゼンが求核攻撃することでビフェニルタイプの生成物が得られている.
このようなシンプルな化学に、意外な反応性が隠されており読んでいて非常に面白い論文だ.
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