2010/03/30

Direct, One-pot Sequential Reductive Alkylation of Lactams/Amides

Kai-Jiong Xiao, Jie-Min Luo, Ke-Yin Ye, Yu Wang, Pei-Qiang Huang, Prof. *
10.1002/anie.201000652

アミドは対応するエステルなどと比べると反応性が低いために、カルボニル上での置換反応を起こしたいなら一旦イミドに変換して活性化したり、アミンへ還元するならLiAlH4でTHF還流条件など、通常他の官能基へ変換する足がかりとするには不便な官能基だ。
本論文はTf2Oを用いて活性化させることで、カルボニル酸素を求核種で置換しようという論文である。アミドのルイス塩基性の強さを利用したアプローチであり、チオアミドをアルキルハライドで活性化する様式のアナロジーだと考えるとわかりやすい。

メカニズムはカルボニル酸素がOTfとなって活性化されるとともにアミド窒素がイミニウムカチオンとなる。ここにグリニャール試薬が求核種として付加し、N,O-アセタールとなった化合物は余剰のグリニャール試薬のルイス酸性により再びイミニウムとなりもう一つの求核種が付加するというものだ。
本論文の売りは、この二つ目の求核種はグリニャール試薬以外にもリチウム試薬やエノラートイオンを適応可能であるという点だろう。これによって小さな分子中に複数の官能基が適度に配置された魅力的な分子群が合成可能になる。



コンセプト自体は斬新ではないものの、こういった反応をきっちりと抑えていくのも大事だなと思うこのごろ。改善点としてはN,O-アセタール後の脱離に二当量の金属試薬を必要としている点と、グリニャール付加は室温で行うにも関わらずTf2Oによる活性化は-78℃という低温が必要な点で反応操作が煩雑になる点と試薬自体の扱いやすさが低い点だろうか。
積極的に別のルイス酸を添加することで、TfO-よりもマイルドに活性化できる可能性はあるような気がする。

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