2010/03/17

Selective Deprotection of Methanesulfonamides to Amines

Hiroyuki Naito, Takeshi Hata and Hirokazu Urabe
DOI: 10.1021/ol100086j

Ms(メタンスルホニル)、Ts(p−トルエンスルホニル)、Bs(ベンゼンスルホニル)、Tf(トリフルオロメタンスルホニル)などのスルホンアミドは酸性、塩基性条件ともに安定であるため、アミンの保護基として用いられることもある。しかし、その安定性ゆえにその除去にはバーチ条件やHBr/AcOHの還流条件など激しい条件が必要なことが多く、脱保護工程が問題となることが多い。そのため、より温和な条件にて除去可能なSES(トリメチルシリルエタンスルホニル)、Ns(ニトロベンゼンスルホニル)、2−ピリジンスルホニル基などの改良型スルホニル基も開発されてきた。
本論文はn-BuLi(or LDA)/O2(or air)という条件でMs基の除去を行うという報告であり、Ms基末端のC−H結合を反応に用いることから、末端水素の存在しないBs基やTf基、またはカーバメート型のBoc基存在下に選択的にMs基のみを除去することが可能になっている。ただし、アミドN-Hの活性プロトンが存在してしまうと塩基により真っ先に引き抜かれてしまうため、2級アミンに限られている。



合成計画上で、複数のスルホニル基を使い分けることはほとんどないので、使う時がくるかどうかは不明であるが、コンセプトがおもしろかったので紹介してみた。
余談だが、世の中にはTs-イミンを用いたマンニッヒ型反応が数多く存在するが、反応物から保護基(活性化基)を除去している論文は極めて少ない。こういう外しにくい保護基を使った場合は、きれいに(エピマー化等が起きずに、収率よく)外せることを示すのが、誠意ある研究っていうのじゃないだろうかと思うよ。

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