Kevin S. Williamson and Tehshik P. Yoon
DOI: 10.1021/ja1013536
オレフィンのアミノヒドロキシル化反応は、SharplessのAAを始め様々な反応が存在する。
筆者らは以前、銅触媒を用いた反応を報告しているが、今回は鉄触媒を用いた例である。興味深いことに触媒金属を変えることで、生成物の位置選択性がスイッチするという現象を見いだしている。
Davis型のオキサアジリジンを用いて、スチレンを始めとするオレフィンのアミノヒドロキシル化反応を行っている。試薬の二つの芳香環上に電子吸引基を導入することで反応条件の最適化を行い、高い収率にて目的物を得ることに成功している。電子吸引基/供与基を有する芳香環置換のオレフィンや、共役型オレフィンでは末端オレフィン選択的に良好に反応は進行するものの、脂肪族置換のオレフィンでは中程度の収率にとどまっている。
反応機構に関する詳細は明らかになっていないが、予備実験からリガンドの酸化工程が第一段階であると著者らは推定している。また、「鉄触媒に微量混入した銅がBuchwald型カップリングにおいて真の活性種であった」という昨年の報告を受けて、本報告では混入した銅が関与しているわけではないと但し書きされているのが微笑ましい。
SharplessのAAでは位置選択性が問題となることがあるが、鉄触媒を用いた本条件では末端選択的に窒素が導入されると予測可能な点が有利な点だろう。触媒金属を鉄ー銅と変更することで反応パスが変わる現象は非常におもしろく、この部分に関する詳細な反応機構解析が待たれる。
参考)
Sharpless不斉アミノヒドロキシル化 Sharpless Asyemmtric Aminohydroxylation (SharplessAA)
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