2010/03/09

Heterogeneous Allylsilylation of Aromatic and Aliphatic Alkenes Catalyzed by Proton-Exchanged Montmorillonite

Ken Motokura, Shigekazu Matsunaga, Akimitsu Miyaji, Yasuharu Sakamoto and Toshihide Baba
DOI: 10.1021/ol100228t

オレフィンへの直接的な付加反応はアトムエコノミーもよく、近年はハイドロアミネーションを始めとして研究が活発な分野である。その中でも本報告はアリルシランのオレフィンへの付加反応、アリルシリレーションという珍しい反応に関する報告であり、後半部の反応機構に関する考察が読みがいがある。

これまでにアリルシリレーションは塩化アルミニウムを触媒とした反応が報告されており、本報告では前報告の弱点であったスチレンへの反応の克服を目指して研究が開始されている。



本反応の肝は、オレフィンとケイ素という二つの活性化されうる部位の選択的活性化である。筆者らはソフトな求電子剤であるオレフィンの活性化を防ぐために、ハードな酸であるプロトンを用いている。このプロトン源の選択はかなりシビアなようでH-montmorilloniteが最もよかったようであるが、他のプロトン源では収率がかなり落ちるようだ。その一つの考え方として、計算によるプロトンへの親和性の計算結果が挙げられており、アリルトリメチルシランとスチレンでは4kcal/molしか違わないと計算されている。

固体NMR等を駆使して筆者らは反応機構解明を試みているが、最終的にはmontmorillonite表面で1,3-ジシリルプロピルカチオンが生じ、オレフィンの求核攻撃を受けるという反応経路を提唱している。
反応基質の一般性からは、電子吸引性基を有するスチレンの方が収率がよいことなどから少し矛盾を感じる面もあるが、先のプロトンへの親和性等など、条件にシビアな反応であるとも考えられるので、一つの説明としては妥当であると思う。

反応機構研究はおもしろい内容である。合成化学的な見地からは、玉尾酸化、檜山カップリング(or デンマークタイプ)などが利用可能なシリル基を導入可能になれば、反応後の変換可能性がぐっと広がりより魅力的な反応になるだろうと考えられる。

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